カレイドスコープは、
明らかにシンメトリーの快楽を
与えるものであろう
純然たる形体の陶酔に
私たちを誘うと言う点で、
言わば目で見る楽器のようなものだ
音の組み合わせが無限であるように、
形体の組み合わせも無限である
三角形で構成された小宇宙に
色さまざまな美しい花が咲き、
花は動きにつれて刻々と変化するが、
二度と同じ形体を生ぜしめることはない
三角形のすべての辺が対称軸となって、
どんな花の動きをも、正確にシントメトリカルに鏡面に映し出すのである
古くは百色眼鏡あるいは
ばんかきょう(万華鏡)と呼ばれたらしいが
いかにもうまい呼び方だと思う
澁澤龍彦「太陽王と月の王」より抜粋
0コメント